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「霧の旗ー堀北真希版」を観ました。前編

以前書いたかもしれませんが 「霧の旗ー堀北真希版」を観ました。
松本清張原作「霧の旗」はもう何度もドラマ化(9回目)されていますが自分が見たのはその中でも3作。昭和時代の安田成美版、2010年代の相武紗季版、そして今回の堀北真希版です。

ーーー昭和安田成美版のあらすじ(これが観た中で一番原作に近いと思うので)ネタバレ前提ですーーー
死刑判決の裁判をひっくり返し無罪を勝ち取る事で名を成し、今や日本で有数の名弁護士となり政界進出の報道までされる大塚欽三。飛ぶ鳥を落とす勢いで有名事件の弁護をし、またフレンチレストラン「みなせ」の若く美しい経営者 河野径子を本妻とは別に愛人とし溺愛していた。忙しい仕事の合間、径子との泊りがけゴルフデートに出かけようとする間際、田舎臭い格好の若い女の子が東京の事務所に訪ねてくる。聞けば何度も冤罪事件を無実にしてきた大塚に自分の兄の弁護を頼む為、九州の田舎から出てきたのだと言う。「大塚先生でなければ兄の無罪は勝ち取れません!」と霧子が断言するその事件とは

九州でつつましく暮らす柳田正夫と霧子兄妹。生活は苦しくとも兄妹で懸命に生きていた。しかし小学校の先生をしている正夫は不手際から学校の学級資金を落としてしまう。仕方なく高利貸しの渡辺キクから金を借りるが借金は膨らみ取り立ては連日厳しくなった。そんな時渡辺キクが撲殺され金と柳田正夫の債権証書だけが無くなる。警察は債権証書と金を奪うために殺したと「強盗殺人」容疑で柳田正夫を逮捕。正夫は「自分がキクの所に行った時は既に殺されていた。債権証書は取ったが殺していない」と主張。しかし連日の厳しい取り調べにより犯行を自白させられる。裁判で改めて「強盗殺人はしていない」と主張するが自白があるため覆らず「強盗殺人犯」として死刑判決も憂慮される状態だった。

「だけどお兄ちゃんは絶対やってないんです、それは一番身近にいた私がわかります!!」と主張する霧子に面倒くさそうな目を向ける大塚。大塚にとって遠い九州の事件でもあるし何より径子との約束の時間が迫っていた。やんわり「私の弁護料は高い。九州の優秀な弁護士に頼んだ方が良い」と断ると「なんとしても払う」と霧子は言い「先生は以前、何件もお金にならずとも冤罪者の弁護をして下さっていたではないですか!」
対して「正義の押し売りはやめてほしい!」そう言って径子と事務所前で合い、デートに行く大塚。それを絶望の目で眺める霧子だった。そんな光景を大塚を取材に来ていた週刊誌記者 阿部が見ていた。

半年後大塚のもとに霧子から葉書が届く。「兄は強盗殺人の汚名を被ったまま、獄中で病死しました」大塚に悔恨の思いが湧く。まるで「あなたが弁護してくれなかったからこうなった」と書かれているようだと。大塚は霧子の兄の事件の資料を取り寄せ、それを読んで犯人は左利きだと確信する。霧子の兄は右利き。犯人ではなかったのだ。大塚が事件の資料を取り寄せた事を知った記者阿部は大塚への取材で、大塚が霧子の兄が犯人でないと確信していると見抜いた。そんな時阿部は銀座のクラブでホステスとなった霧子と出会う。田舎娘が銀座の女として見違える程美しくなって現れたのだった。

阿部は大塚が霧子の兄が犯人ではないと思っていることを告げるが霧子はさみしく言う「兄はもう死んでしまったのです」
そんな時霧子はひょんなことから大塚の愛人径子が殺人現場に遭遇するところに出くわす。「信じてください、私じゃないんです!私が来た時にはもう死んでたんです」霧子は信じると言う。すると径子は「あなた、証人になってください。私じゃないという!!」霧子はそれも承諾する。何故なら死体のそばにはインディアンがかたどられたジッポライターが落ちていたからだ。径子は霧子の名前と勤め先の銀座のクラブの名を聞くと急いで帰っていった。その時霧子はジッポライターを自分の手中に隠し、かわりに径子が落としていったイヤリングを死体の側に置いていく。
後日警察は径子を殺人犯として逮捕。「私じゃありません。証人がいます。銀座のクラブに勤める柳田霧子さんという」径子のこの証言の裏どりに警察は霧子の元を訪れる。しかし霧子は「径子さんなんて人知りません。あった事もないし、そんなところ行ってません」「ライター?行ってない私が知っているわけがありません」
霧子は径子と殺人現場で合った事を否定するのだった。

なんか長々と書いてしまいました大まかな流れはこんな感じです。大塚弁護士は本妻とは既に冷え切っていて径子だけが大切な人でした。それを利用して霧子は自分と同じ目に合わせようとする。冤罪で殺人者に仕立てて復讐しようとするんです。この霧子役安田成美版では弁護士大塚は老人という設定。故 田村高廣が演じています。 原作読んでないけど多分原作でも老人でしょう。松本清張はそういう設定が多いから(多分自分と同年齢程度に設定してると思います)

しかし2010年以降の相武紗季版、堀北真希版になると新進気鋭の若手弁護士(市川海老蔵、椎名桔平)になっている。ま、椎名桔平は50くらいだから若手とは言えないけど個人的には老弁護士という設定の方がいいと思います。老弁護士だからこそ、若い愛人の径子に執着し、人生をかけてまで愛人を救おうとする心情になるのだと思いますから。ラストは霧子が大塚弁護士に証拠のライターを渡すと言って自宅に招き入れ酒で酔わせて誘惑し、関係を結ぶ。その後、愛人を救うため偽証しろと迫り私の処女を奪った、と検察庁に手紙を出します。しかも処女だったことを示す産婦人科医の診断書付きで。このことにより大塚は弁護士資格を失う。しかし残り少ない人生をかけて径子を救う事を誓う。霧子は復讐の為とは言え、処女を老弁護士にささげた。何故に??この行動はもしかして大塚を愛していたかもしれないと思わせますねえ。愛と憎悪は紙一重、憎悪は愛と隣り合わせと言いますから。

結局径子は救われず殺人犯のまま、大塚は離婚、マスコミにたたかれ弁護士資格も失い老い傷ついても径子の冤罪を必ず晴らすと誓う姿で終わる。清張らしい終わり方。でも2010年以降版では検察への手紙の内容もソフトになってるし径子は殺人犯の疑惑から救われちゃう。霧子がライターを検察に提出しちゃう。手紙の内容はまあいいとしても、径子が救われちゃうと松本清張の醍醐味が薄れるように感じてしまう自分なんですよねえ。。。「救いのないラスト」がまさに松本清張です(笑) 

思えば「疑惑」も何度もドラマ化されてますが最近の作では鬼熊こと鬼塚熊子が「実はいい人」的に終わることが多い。(最新作ではサイコパスっぽかったですけど)やっぱ今は暗い「絶望ラスト」はダメなんでしょうかねえ?

長くなりましたので次回に続きます。

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エロ漫画家 藤咲 真です。


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