・・・感想2「きつね憑き」特集?
先日の文はなにやらもって回った言いまわしになり、読みにくい文になってしまったと反省しています。
ですので今回はなるべく素直な文で行きたいと思います。(と言いつつ、すでに持って回ってるような)
森見登美彦(もりみとみひこ)「きつねのはなし」
(ネタバレがあります。特に===の間は超ネタバレですので注意。)
あらすじ
京都 一乗寺にある古物商「芳蓮堂」。そこには旧家よりいわくある物が預けられている。
その物についた「きつね(?)」の物語。
作者の森見登美彦は「太陽の塔」「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話体系」等の方が有名らしいですが
前述の本は一冊も読んでいません。「四畳半神話体系」はアニメにもなっていますが見ていませんでした。機会があれば見てみたいと思います。
文章の感じからだとちょっと文学くさいイメージが。
極端な言い方をしますと「きつねのはなし」は超ほったらかしそして雰囲気物と言う感じですね。はっきり正体を見せない「きつね」をいかに感じることが出来るか・・・そこで好悪が分かれると思います~。
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第二話にあたる「果実の中にある龍」に出てくる先輩。
実はああいう人を学生時代に幾人か知っていました。
「うそも大げさなら逆に信用が出る」みたいな事を読んだ事がありますが、私の知人もまさにそんな感じでした。
でも大うそを付く人もただ自分の地位を上げるためというわけではなく「聞く人の期待に応える為」にうそをつくという心理が働く場合もあるということです。特に若いうちはカッコつけですしね。
この話でも先輩がシルクロードを旅したこと、骨董品を買いあさる米国人の話などすべて作り話でうそだったわけですが、なぜかこの先輩を憎めない気がするのです。実際、物語の中でも先輩のうそがすべてバレた後でも主人公は先輩を慕い、心配もしているわけです。しかし彼女のほうは最後にさみしく離れていく。どちらの心情もわかるような気がします。
(でも学生時代だから有る程度許容できるのでしょうが実社会だったらちょっと犯罪がらみを考えてしまいます。)
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私は結構好きな話でした。ただちょっとまわりくどいように感じました。そこが文学っぽいんですが(笑
よく例に出したのに感想を書いていなかったのでちょっと書こうと思います。
三津田 信三「赫眼(あかまなこ)」(多少ネタバレがあります)
あらすじ
主人公が小学校入学した一学期に女の子が転校してくる。その少女は小学生とは思えぬ美貌と色香を持っていた。主人公はしだいにその色香と美貌に恐怖を覚えはじめる。彼女は貧乏らしく毎日同じ粗末な服で登校してきて、その美貌とともに上級生の女子からイジメを受ける。しかし平然としている彼女に違和感が増す主人公。そんな時、学校を休んだ彼女の家にプリントを届けることになった。不安を覚えながら級友と彼女の家に向かうのだが・・・
短編集ですので表題の「赫眼」以外に6話収録されていますが、どれもいいです。つまりどれも怖い。この短編集は個人的には傑作だと思っています。この「赫眼」も怖いですが6話目の「後ろ小路の町家」がいい。2話目の「怪奇写真家」もいける。この本を読んで三津田 信三の大ファンになりました。でもあえて言うならば7話目の「死相学探偵 死をもって貴しと為す」は個人的にはちょっと。。。理由は今まで結構書きましたのでわかっていただけると思いますが・・・。
謎解きでも、解かれる謎とその結果がどっぷりホラーになっていると大好きになる私です。
読んだ中では光文社文庫シリーズの「禍家(まがや)」そして「凶宅(きょうたく)」がちょうどそれです。
「死相学探偵」シリーズもホラーなのですが「どっぷり度」が浅いように私個人は感じてしまうんですよね。
現在は光文社文庫「災園(さいえん)」を読んでいます。これも「憑き物」話で今回は「狐憑き」の家系の話。三津田 信三さんは「憑き物」の話が好きそうですね。私も実は好きです。
以前感想を書いた「厭魅の如き憑くもの(まじもののごときつくもの)」の参考文献に小松和彦「憑霊信仰論」が載っていました。この本、自分も学生の時に読みました。「呪禁師」の時も参考にしています。
民俗学者で社会学者の小松和彦の本は結構読んでいます。内容は論文なので、学のない私にはちょっと読みづらいのですが好きな人には面白い本だと思います。この本を読んでる人とは話がカブりそうですが。。。一応「異人論」や小松和彦監修の「憑き物」も読みました。が、やっぱり論文なのでちょっと読みづらい。(苦笑
ちなみに小松和彦先生の本で始めて読んだのは新書版「鬼が作った国 日本」です。
「呪禁師」の続きとかも描いてみたいのですが、現在は色々な意味で無理そうです。
ちょっと話がそれましたが、三津田 信三ホラーの場合、子供が主人公ということも多いのですが
その子がとても子供とは思えない冷静さや発想力、分析力を発揮します。
「赫眼」も小学一年生が主人公なのですが、対応とか分析とか小学一年生とは思えない。。。自分が一年生の頃、あんなに頭良かったかな?私はもっとバカで幼稚だったような気が・・・(汗(自分だけかもしれないけど)
「災園」の主人公も小学校低学年の女の子なのですが、とても利発で冷静、本当に子供とは思えない判断力を示します。
でもしかし、これは決して非難しているわけではなく「判断力がある子供」だからこそ「恐怖」が増しているように私は思います。この「なんか利口過ぎて、ちょっとマセた子供」という主人公も三津田 信三の特徴なのかもしれません。
ですので今回はなるべく素直な文で行きたいと思います。(と言いつつ、すでに持って回ってるような)
森見登美彦(もりみとみひこ)「きつねのはなし」
(ネタバレがあります。特に===の間は超ネタバレですので注意。)
あらすじ
京都 一乗寺にある古物商「芳蓮堂」。そこには旧家よりいわくある物が預けられている。
その物についた「きつね(?)」の物語。
作者の森見登美彦は「太陽の塔」「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話体系」等の方が有名らしいですが
前述の本は一冊も読んでいません。「四畳半神話体系」はアニメにもなっていますが見ていませんでした。機会があれば見てみたいと思います。
文章の感じからだとちょっと文学くさいイメージが。
極端な言い方をしますと「きつねのはなし」は超ほったらかしそして雰囲気物と言う感じですね。はっきり正体を見せない「きつね」をいかに感じることが出来るか・・・そこで好悪が分かれると思います~。
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第二話にあたる「果実の中にある龍」に出てくる先輩。
実はああいう人を学生時代に幾人か知っていました。
「うそも大げさなら逆に信用が出る」みたいな事を読んだ事がありますが、私の知人もまさにそんな感じでした。
でも大うそを付く人もただ自分の地位を上げるためというわけではなく「聞く人の期待に応える為」にうそをつくという心理が働く場合もあるということです。特に若いうちはカッコつけですしね。
この話でも先輩がシルクロードを旅したこと、骨董品を買いあさる米国人の話などすべて作り話でうそだったわけですが、なぜかこの先輩を憎めない気がするのです。実際、物語の中でも先輩のうそがすべてバレた後でも主人公は先輩を慕い、心配もしているわけです。しかし彼女のほうは最後にさみしく離れていく。どちらの心情もわかるような気がします。
(でも学生時代だから有る程度許容できるのでしょうが実社会だったらちょっと犯罪がらみを考えてしまいます。)
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私は結構好きな話でした。ただちょっとまわりくどいように感じました。そこが文学っぽいんですが(笑
よく例に出したのに感想を書いていなかったのでちょっと書こうと思います。
三津田 信三「赫眼(あかまなこ)」(多少ネタバレがあります)
あらすじ
主人公が小学校入学した一学期に女の子が転校してくる。その少女は小学生とは思えぬ美貌と色香を持っていた。主人公はしだいにその色香と美貌に恐怖を覚えはじめる。彼女は貧乏らしく毎日同じ粗末な服で登校してきて、その美貌とともに上級生の女子からイジメを受ける。しかし平然としている彼女に違和感が増す主人公。そんな時、学校を休んだ彼女の家にプリントを届けることになった。不安を覚えながら級友と彼女の家に向かうのだが・・・
短編集ですので表題の「赫眼」以外に6話収録されていますが、どれもいいです。つまりどれも怖い。この短編集は個人的には傑作だと思っています。この「赫眼」も怖いですが6話目の「後ろ小路の町家」がいい。2話目の「怪奇写真家」もいける。この本を読んで三津田 信三の大ファンになりました。でもあえて言うならば7話目の「死相学探偵 死をもって貴しと為す」は個人的にはちょっと。。。理由は今まで結構書きましたのでわかっていただけると思いますが・・・。
謎解きでも、解かれる謎とその結果がどっぷりホラーになっていると大好きになる私です。
読んだ中では光文社文庫シリーズの「禍家(まがや)」そして「凶宅(きょうたく)」がちょうどそれです。
「死相学探偵」シリーズもホラーなのですが「どっぷり度」が浅いように私個人は感じてしまうんですよね。
現在は光文社文庫「災園(さいえん)」を読んでいます。これも「憑き物」話で今回は「狐憑き」の家系の話。三津田 信三さんは「憑き物」の話が好きそうですね。私も実は好きです。
以前感想を書いた「厭魅の如き憑くもの(まじもののごときつくもの)」の参考文献に小松和彦「憑霊信仰論」が載っていました。この本、自分も学生の時に読みました。「呪禁師」の時も参考にしています。
民俗学者で社会学者の小松和彦の本は結構読んでいます。内容は論文なので、学のない私にはちょっと読みづらいのですが好きな人には面白い本だと思います。この本を読んでる人とは話がカブりそうですが。。。一応「異人論」や小松和彦監修の「憑き物」も読みました。が、やっぱり論文なのでちょっと読みづらい。(苦笑
ちなみに小松和彦先生の本で始めて読んだのは新書版「鬼が作った国 日本」です。
「呪禁師」の続きとかも描いてみたいのですが、現在は色々な意味で無理そうです。
ちょっと話がそれましたが、三津田 信三ホラーの場合、子供が主人公ということも多いのですが
その子がとても子供とは思えない冷静さや発想力、分析力を発揮します。
「赫眼」も小学一年生が主人公なのですが、対応とか分析とか小学一年生とは思えない。。。自分が一年生の頃、あんなに頭良かったかな?私はもっとバカで幼稚だったような気が・・・(汗(自分だけかもしれないけど)
「災園」の主人公も小学校低学年の女の子なのですが、とても利発で冷静、本当に子供とは思えない判断力を示します。
でもしかし、これは決して非難しているわけではなく「判断力がある子供」だからこそ「恐怖」が増しているように私は思います。この「なんか利口過ぎて、ちょっとマセた子供」という主人公も三津田 信三の特徴なのかもしれません。